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フェチ(18)

どうしよう?
もう少しこのまま就活を頑張ろうか。
しかし、これまでの実績から考えると就職内定をもらえるのは望み薄のような気がする。
いっそのこと女性として北原の会社に就職しようか。
そうすればとりあえずは仕事に就くことはできる。
しかし、それで就職できたとしても、絶対に問題が起きるだろう。
そうなると傷つくのは僕自身なのだ。

かなりの時間、いろいろ考えた。
いくら考えても、いくら悩んでいても堂々巡りだ。
結論は出そうもなかった。
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フェチ(17)

「それじゃ、僕からの質問、いいかな?」
僕が腹を立てていることには気がつかないのか、男は何事もなかったかのように言った。
「何ですか!」
僕は少し怒りながら聞いた。
「君の今の恰好は趣味なの?」
男の質問に僕はどう答えていいのか分からなかった。
すると男が言った。
「もしその姿で面接に来てくれたら、採用してたんだけどな」
「えっ?」
思わぬ言葉に警戒していたことが頭から消えてしまった。

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22:46 | フェチ | comments (2) | trackback (-) | page top↑

フェチ(16)

男性は黙って車を走らせた。
何も喋らない。
僕も口をきかなかった。
でも頭の中は不安でいっぱいだった。
どうしてバレたんだろう?
どこに連れていかれるのだろう?
もっと必死で抵抗して車に乗らなければよかったのに…。
そんなことを考えていた。

10分ほど走っただろうか。
車は病院の駐車場に入って行った。
本当に医者に連れていかれるとは思ってなかった。
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15:34 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(15)

それから何度もエントリーシートを出したり、面接を受けに行ったりした。
しかしさっぱりだった。
卒業まで半年を切った時期になっても全然就職先が決まらない。
卒業に必要な単位を取ってしまっていたので、卒業することはできる。
しかしこんなことだったら単位をとらずに落第したほうがよかったのかもしれない。
そんなつまらないことすら考えてしまう。
自分の考えがどんどんネガティブな方向に向いてしまうのだ。

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13:32 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(14)

そんな楽しいだけで大学生活は永遠に続くものではない。
幸いなことに大学の単位だけは真面目に取っていたので、卒業することは問題ない。
しかし卒業後についてはまだ何も決まっていない。
そろそろ真面目に考えないといけない時期なのだ。
卒業後のための対応、それは就活だ。
周りが就活を始め出したという声を聞いているときは、少しくらい遅くなっても、という気持ちだった。
そろそろ始めなければ、と思ったときには、完全に出遅れていた。
中には自ら起業するなんて奴もいた。
しかし僕には起業する意欲なんてあるはずもないから、どこかの企業に就職することを目指すしかない。
すでに出遅れているのだから、かなり真剣にやらないとヤバい。
僕は就職が決まるまで女装を封印することに決めた。
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17:25 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(13)

「それじゃ行くわよ」
「えっ!この恰好で?」
「コミュがあるから、こんな恰好したんじゃない。当たり前でしょ」
僕は瑞希に引っ張られるように、外に出た。

会場に着くまでの人々の視線はつらかった。
何してんだ、こいつら?
そんな蔑んだ視線が僕を責めた。

やがて、これだけ化けていると僕だと分かるはずがない。
そんな開き直りのような気持ちになることができた。
そうなると、少しずつ堂々と振る舞うことができるようになっていた。
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00:59 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(12)

瑞希のマンションは女性限定のマンションだった。
男の姿では入ることすらできなかったのかもしれない。
だから女装させたのか。
そんなことを考えながら、瑞希の部屋番号を押した。
「入ってきて」
すぐに瑞希の声が聞こえてきた。
そして鍵が開く音がした。
僕は扉を開け、瑞希の部屋に向かった。
幸いにも途中マンションの住人に会うことはなかった。
仮に誰に会ったとしても、男だと見抜かれるとは思ってなかったが、このタイミングで余計な神経は使いたくなかった。
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23:25 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(11)

沙亜矢です。
本当に遅い更新ですみません。
またまた1ヶ月あいてしまいました。

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「この彼女って塚本くんだよね?」
「い…いや、妹だよ」
僕は昨日の雅臣の話に乗ることにした。
「妹さん?以前自分がひとりっ子だって話したの覚えてないの?」
「えっ?そんな話、したっけ?」
「覚えてないの?」
「あ…うん、覚えてない。そっか、そんな話してしまってたんだ。それじゃ昨日雅臣が『妹』と言った時点で、雅臣が嘘ついてるってことがバレてたのか」
瑞希がおかしそうに僕の顔をジッと見た。
そして抑えきれなくなったように急に笑い出した。
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01:21 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(10)

沙亜矢です。
またまた一ヶ月あいてしまいました。
遅い更新で本当にごめんなさい。
懲りずにおつき合いいただければ幸いです。

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家に着き、すぐにドアを閉めた。
「ふぅー、疲れたぁー」
ようやく張り詰めていた緊張から解放された。
「なあ落ち着いたらもう一回外に出ようぜ」
「もう二度と嫌だ」
「そんなこと言うなよ。せっかくそれだけ美人なのに…」
「これからは家だけで楽しむことにする」
「えぇぇ!そんな…。もったいない…」
「もったいなくてもいい。僕はもう外になんか行かない」
「そんなぁ…」
雅臣がブツブツと文句を言ってる。
僕はそれを完全に無視した。

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16:58 | フェチ | comments (1) | trackback (-) | page top↑

フェチ(9)

沙亜矢です。
一ヶ月ぶりの更新です。
本当に更新が遅くてごめんなさい。
懲りずにお読みくださいネ。


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ふと気がつくと、前の方から知り合いの女性が近づいてきていた。
棚瀬瑞希だ。
瑞希は雅臣と同じ高校らしく、大学で雅臣と会えば二人で話をする仲だった。
そうして僕も時々話すようになったのだ。
時には雅臣抜きでも話したりしていたので、僕とは充分よく知った仲だったのだ。
そんな瑞希の目から見れば僕の女装なんて簡単にバレてしまうのでは…。
こんな街中で、大声でばらされたら、恥ずかしさで死んでしまうかもしれない。
「棚瀬だ。逃げようぜ」
「おかしいだろ、急に逃げたりしたら」
そんなことを言って、そのまま歩いていった。
瑞希との距離は確実に短くなっていく。
この距離になると、もう逃げるに逃げられない。
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