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フェチ(19)

「塚本直美です。今日からお世話になることになりました。よろしくお願いします」

週が明けると、僕は北原の会社で皆の前で挨拶していた。
初日ということもあり、僕は白のスーツで決めていた。
皆の興味本位の視線が居心地を悪くする。
「塚本さんは今度退社する川瀬さんの後任として来てもらうことになった。みんな、よろしく頼む」
そう紹介された。
いよいよ僕の女性としての、直美としての社会人生活が開始されたのだ。


「わたし、川瀬智美。これから2週間で、引き継ぎしなくちゃならないから、しっかり頼むわね」
僕の目の前に現れたのはあの日面談の日に会ったかっこいい女性だった。
「あ、あなたは…」
「何?」
「あ…いえ。よろしくお願いします」
僕は何も言わないことにした。
「これからいろいろと業務の引き継ぎをしていくけど、まず最初にこれだけは確認させてね」
「あ…はい」
「あなた、男なんでしょ?」
「えっ…あ、あの……」
いきなりの質問にどう答えればいいのか分からなかった。
何かヘマして男だってバレてしまっていたんだろうか。
「あの社長が直接採用するなんて、それしか考えられないもの。だって社長って本当は女性が苦手なの」
「はい、聞いてます」
「あ、聞いてるんだ。でも、それって社長のトップシークレットだから、絶対に他の人には言わないでね。それであなたは…」
「はい、私は男です。もしかして川瀬さんも…」
「もちろんわたしも男よ。あの社長に採用してもらったんだから。あっ、でもこれも内緒ね。社長と人事の責任者しか知らないことだから」
「……はい…」
知らなかった。
でも男でもあれくらい恰好良くなれるってことが分かっただけでも良かったように思える。
手術はしてるんだろうか?
そのことを聞きたかったが、今は聞くタイミングでないように感じた。
「それじゃ、早速仕事の引き継ぎを始めるわね」
すぐに仕事の話に切り替わった。
「引き継ぎって…。1週間様子を見てから採用かどうかって言われてるんですけど」
「そんなの社長の体裁を取り繕って言ってるだけよ。あなたは社長の好みのタイプだから、どんなことがあっても、そのまま採用されるから大丈夫だって」
「そう…なんですか?」
好みのタイプと言われても複雑な心境だ。
僕は仕事に就くために女装しているのであって、そんな気は毛頭もない。
そもそも男とつき合うなんて考えたこともなかった。
たまにお茶したり食事を奢ってもらえるくらいは期待していたけれど、それだけだ。
もしも言い寄られたらどうしよう?
社長だから無下にはできない。
でもそんなことは絶対に無理だ。
仕事以外で悩むなんて考えてもいなかった。

01:10 | フェチ | comments (2) | trackback (-) | page top↑
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コメント

#何を今更…(^^;)
女装することを了承した時点で言い寄られるは確定でしょうに…。
覚悟が足りませんね…。
by: 藍 | 2016/06/10 07:05 | URL [編集] | page top↑
#コメントありがとうございます
藍 さんへ
沙亜矢です。
藍さんって以前よくコメントいただいていたあの藍さんですか?
早速厳しいコメントありがとうございます。
とても嬉しいです。(^o^)
これからもよろしくお願いいたします。

by: 沙亜矢 | 2016/06/12 01:10 | URL [編集] | page top↑

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