三角関係(12)

その日はいつものように由香里と買い物に出かけていた。
いつものように他愛もない会話をしながら、ウインドウショッピングをしていた。
すると向こうから加藤がやってきた。
(やばっ!)
僕は加藤と顔を合わせないように通りとは反対の方を向いた。
しかし、加藤は由香里に気がついたようだった。
「よっ、大塚」
「あっ、加藤くん」
僕は気がつかない振りをしていた。
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三角関係(11)

女装外出が日常的になってくると、最初のころのトキメキが薄れてきた。
女装というより普通に服を着ているだけだった。
自分は生まれながらに女の子だったような錯覚になっていた。
そんな気持ちのせいもあるのか最近勃起しなくなったような気がする。
なぜ?
どうして?
女装するには便利なんだけど何となく不安を覚える。
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三角関係(10)

由香里のマンションに越して来て、1ヶ月ほど経ったときだった。
「ねぇ、ひろみ、明日女の子同士で買い物に行かない?」
「えぇ、そんなの、まだ無理よ」
僕も内心女装外出したいという思いはあったが、いざ本当に提案されると尻込みしてしまった。
「もう部屋の中ではあたしより女らしいし、絶対に大丈夫だよ」
「でも声は男のままよ」
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三角関係(9)

二三日して、ようやく何とか起きようという気になれるくらいには体調が戻った。
まだ何となく気怠さは残っているが、とりあえず普通の生活はできるような気がする。
少しでも元気になると、僕の気持ちとしても女装をしたくなる。
僕は朝起きると久しぶりにガードルを履き、完全女装した。
やっぱりこの方が楽しい。
昨日までの体調の悪さは春からいろいろと変化が激しくって、ただ単に疲れていただけなのかもしれない。
僕は何となくそんな気がした。
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三角関係(8)

その日の授業に全て出席すると、僕は夕食の材料とエプロンを買って、由香里のマンションに戻った。
半日程度男の格好をしているだけなのに、だんだん自分の姿に違和感を覚えていた。
早く女の子の格好がしたい、そういう欲求が強まっていた。
したがって、帰ってすぐに服を脱ぎ、シャワーを浴びて全身を綺麗にし、女装した。
今日はタータンチェックのプリーツスカートとモスグリーンのサマーセーターだ。
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三角関係(7)

僕は食事の後片付けをして、風呂に入った。
湯船に浸かっていると、脱衣場に由香里が入ってきた。
「ひろみ、着替え置いておくわね」
僕は洗濯済みのボクサーパンツを持ってきたのだが、由香里の言葉に嫌な予感がした。
風呂から出ると、予想通り女物のショーツが置いてあった。
白地に青の横縞が入ったものだった。
僕は下着をつけずバスタオルを腰に巻き、ショーツを握って、リビングに行った。
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三角関係(6)

次の日、僕は由香里のマンションに引っ越した。
由香里のマンションは僕がいたマンションより広い部屋だった。
3畳の形ばかりのキッチンと6畳と4畳半の部屋があった。
4畳半の部屋が僕の部屋になった。
「ひろみはこっちの部屋使ってね」
持ってきた荷物の半分以上は捨てることになった。
男の衣服は全て捨てられそうになった。
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三角関係(5)

「ホントに」
「ぅわぁ、すっごい可愛い。ねっ、お化粧ってどうやって覚えたの?あたしより上手だよ」
由香里の顔が柔和になった。
僕はホッとした。
「雑誌とかで見て適当にしてるだけだよ」
「そうなんだ、へぇ〜すごいね。本当に女の子みたいになれるんだ。ねえ、胸はどうなってるの?」
「パンストをつめてるだけ」
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三角関係(4)

「あたしは男の人が女の子の服を着るなんてやっぱり変なことだと思ってしまう。それは、見たことないからだと思うの」
由香里は静かに話し出した。
「浩実だったら可愛いし、女の子の格好しても似合うような気がするんだけど、やっぱり考えるだけじゃ違和感はなくならないと思う。でも、実際見て、納得できたら案外受け入れられるような気もしてるの。浩実が自分の好きなことを我慢するなんて、あたし、嫌だもん。だから、ねっ、お願い。浩実の女の子の姿を見せて」
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三角関係(3)

僕たちが深い関係になっても、僕は自分の部屋の鍵を彼女に渡さなかった。
由香里がそれを不満に思っていることは何となく分かった。
しかし僕が女装しているときに由香里が入って来られたら困る。
したがって、鍵だけはどうしても渡せなかった。

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三角関係(2)

東京に来て驚いたのは女装の店というものが堂々と開かれていることだ。
僕は胸が震えるような喜びを感じながら、発見した店に入った。
その店で売られているものはデザインのバリエーションも少ない。しかもすごく高い。
僕は喜びを感じた分だけ落胆も大きかった。
しかし、世の中には僕と同じ趣味を持った男がいるということを知れたことは何となく僕の気持ちを明るくさせた。
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三角関係(1)

僕の趣味は女装だ。
僕が女装に興味を持ったのは中学のときだった。
友達の家に遊びに行ったときに、友達のお姉さんのスリップをふざけて身につけてからだ。
身体に当たる生地の感じが男の下着とは全く違う。
肌をすべるような感触に僕は心を奪われた。
友達のお姉さんはそれなりに綺麗な人だったけれど、友達のお姉さんに恋をしたわけではない。
女性の下着そのものに心を奪われたのだ。
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