あなたとなら(17)

「ねえ、下もちゃんと手術した方がいい?」
僕と賢一さんはセックスの後、全裸のままだった。
僕は賢一さんの腕を抱くようにしていた。
「俺は翔子さえいてくれたらいいんだ」
「でも本当はどうなの?」
「翔子はどうしたいんだ?」
賢一さんの質問に僕は少し考えた。
「賢一さんは普通の女の子の方がいいんでしょ?」
「そりゃまあそうだけど」
「だったら手術を受けるわ」
「いいのか?」
「だって賢一さんはその方がいいんでしょ?わたしもちゃんと賢一さんの愛を受け止めたいし」
「ありがとう」
「でもわたしは賢一さんの子供は産めないわよ。それでもいいの?」
「だからさっき言ったろ?俺は翔子がいてくれればいいんだよ」
僕は賢一さんの胸に顔を埋めた。
賢一さんは僕の頭を優しく撫でてくれた。
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あなたとなら(16)

家の外に出ると賢一さんがいた。
「賢一さん...」
いつから待っていたのだろう?
心なしか賢一さんはやつれているように見えた。
「翔子、昨日はごめん。思ってもみなかったことなんで驚いちゃって」
「わたしこそごめんなさい。結果的に騙したことになってしまって」
「改めてお願いがあるんだけど、今度こそちゃんとつき合ってくれませんか」
「ウソ...でしょ.....?」
僕は賢一さんの言葉が信じられなかった。
つき合ってくれませんか?
きっと聞き間違いに違いない。
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あなたとなら(15)

それから時々僕に峰島さんから連絡が入るようになった。
はじめのうちは二人の話題といえば亜希子のことだったが、会う回数が増えるにつれ亜希子の話はほとんど出なくなり、普通に自分たちの身の回りのことを話したりするようになった。僕のことを女の子として扱ってくれる峰島さんと過ごす時間が好きだった。

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あなたとなら(14)

ダブルデートが終わって雅くんと別れるときに雅くんが僕を呼び止めた。
「もし今度亜希子のやつがこんなことを提案してももう断ってくれよ」
「いいの?」
「ああ。俺とお前は別れたってことにしてくれていいから」
それだけ言うと僕の顔も見ずに帰って行った。
僕は何となく悲しかった。
気がつくと涙が一粒流れ落ちていた。
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あなたとなら(13)

僕は卒業旅行から帰ってからも24時間女の子生活を変えなかった。
もちろん当初卒業旅行が終われば元に戻すと言っていた胸の膨らみはそのままだ。
僕は女の子でいることが当然のように思えていた。
もう男に戻る気はない。

大学も僕は女の子の姿で通っていた。
最初から女の子の姿だったから誰も何も言わない。
きっと本当に女の子だと思っているんだろう。
学生証も女の子の僕が写っている。
名前は『翔吾』だけど。


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あなたとなら(12)

いよいよ亜希子たちとの卒業旅行の日がやってきた。
一緒に行ったのは亜希子と亜希子の友達の福井結衣さんと大西里佳子さん。
目的地は温泉地。
女三人寄ればかしましというが行きの電車の中では3人の話し声が車両に響いていた。僕は自然と聞き役に回っていた。
旅館に着くとすぐにお風呂に入ろうということになった。
「ここの露天風呂って結構有名みたい」
露天風呂にはまだ誰も入っておらず、脱衣場にも誰もいなかった。
亜希子たちはさっさと服を脱いで風呂に入った。
「翔子も早くおいでよ」
僕は少し遅れて風呂に行った。
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あなたとなら(11)

病院に行くときにはウィッグはつけなかった。
自分の髪が肩くらいまでに伸びていたのでそれを利用した。
雑誌のヘアスタイルを見ながら、少しボリュームをつけてウェーブをつけると十分ショートヘアの女の子に見えた。

病院に行くと、簡単な問診のあとにすぐに手術をすることになった。
たまたま入っていた予約がキャンセルされたらしく、すぐに手術になった。
中途半端に時間が空くと迷いが生じるかもしれない。
そういう意味で僕にとっては有難かった。
僕は麻酔で眠らされた。
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あなたとなら(10)

「卒業旅行に行かない?」
僕は携帯から聞こえる亜希子の提案に驚いた。
進学する大学も決まり、やっとのんびりできると思ったのに、また振り回されそうな予感がする。
「ええ、そんなの、無理よ」
とりあえず僕は返事する。
「どうして?あたしたちもう高校卒業したら大学生になるんだよ」
「でも...」
「お父さんとかがうるさいの?そりゃ翔子みたいな美人の娘を持つとお父さんは心配でしょうね。うちなんかその点は全然障害にならないもんね」
「別にそんなことはないけど」
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あなたとなら(9)

10時過ぎに亜希子が家にやってきた。
「あっちゃん、いらっしゃい」
「おばさん、こんばんは。翔子はもう来てるの?」
玄関先での二人の会話が聞こえてきた。
「ええ、さっき来てもう着物に着替えたわよ」
雅くんのお母さんはうまく口裏を合わせてくれている。
「なあんだ。せっかく一緒に着せてもらおうと思ったのに」
「そんなこと言ってもおばさん一人で二人一緒に着付けはできないわよ。だから翔子さんには先に着てもらったの」
「そうか、そうだよね。翔子は今どこにいるの?」
「居間よ。雅信と一緒にいるわ」
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あなたとなら(8)

「亜希子のやつ、俺と翔子でクリスマスパーティしないかって誘いやがるんだ」
「もちろん断ったよね?」
「当然だろ?一応受験生なんだからそれどころじゃねえって。そしたら」
「そしたら?」
「そしたら初詣には行くんでしょって言われてさ。合格祈願しないといけないんじゃないかって。だから初詣は一緒に行こうってことになって」
「そんなぁ」
「お袋はもちろんOKだって。今から楽しみなんだってさ、お前に振袖着せるのが」
「振袖!?」
「だって女の子の初詣は振袖が定番だろ?」
「だからって僕が着る必要はないじゃない」
「亜希子のやつもお前の着物姿見るのを楽しみにしてたぜ」
「仕方ないなぁ」
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