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フェチ(31)

僕はすぐに社長に電話した。
直接顔を見て話したかったので、電話では何も伝えなかった。
ただ「会いたい」とだけ伝えた。
社長はすぐに行くと言ってくれた。

社長が僕の部屋に来たのは、それから20分ほど経ったときだった。
社長の顔を見ると、どういうわけか涙が出た。
自分でも訳が分からなかった。
止めようと思ったが、まったく無駄だった。
涙腺が壊れたように涙が流れた。
社長は何も言わず抱きしめてくれた。
僕は南先生から言われた話を社長に話した。
社長は途中口をはさむことなく、話を聞いてくれた。
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15:55 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(30)

「直美さん、今日はお待ちかねの診断結果をお話します」
やっと女の子になる一歩を踏み出せるのだ。
後戻りのできない一歩を踏み出すことへの不安がないと言えば嘘になる。
それ以上に僕は期待に胸を膨らませていた。
しかし南先生が言った言葉は想定していない言葉だった。
「残念ながら性同一性障害と診断することはできませんでした」
えっ、どうして?
完璧な話ができたはずなのに。

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21:35 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(29)

その日、早めに仕事を切り上げて、紹介された医者に行った。
病院と言っても病院らしい雰囲気はなく、お洒落なエステのような感じだった。
「北原から紹介で来た人だね。えっと塚本直彦さん、かな?」
「はい、今は直美と名乗ってますけど…」
「あ、そのほうが今の君にあってるね。で、直美さん、本当に男性なの?本当の女の子に見えるけど」
「はい、戸籍は男です」
「ずっと女性の恰好をしてるの?いつ頃から?」
「大学からです」
その日はそんな話をしただけで終わりだった。

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00:59 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(28)

社長の手が僕の下半身に伸びてきた。
そしてガードルの上から股間を撫でるように触れてきた。
その瞬間、僕は身を固くした。
感じたわけではない。
何となく違和感を覚えたのだ。
その違和感はガードルに触れられている間ずっと存在していた。
やがて社長の手がガードルに入ってきた。
そして、ついに僕のペニスを握られた。
その途端、僕は正気に戻った。
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00:47 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(27)

出勤にはいつもの服を着ていくことにした。
昨日買った服は紙袋に入れた。
デートを楽しみにしているなんて社長に思われたくなかったのだ。

その日は何となく二人の間によそよそしい雰囲気が漂っていたような気がする。
必要以上に意識していたせいかもしれない。
それでも何とか一日の仕事が終わった。

「それじゃ行こうか」
ようやく社長の口からデートのことが出た。
昨日のことをなかったことにされたら立ち直れなかったところだった。
僕はホッとすると同時にものすごくウキウキするような気持ちになった。
それを社長に感づかれるのは癪なので、あえて冷静を装った。
「ちょっと待っていただけますか。お化粧を直したいので」
僕は急いで昨日買った服に着替えた。
そして化粧を整えた。
化粧はできるだけナチュラルな感じに見えるよう最大限の注意を払った。

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02:09 | フェチ | comments (2) | trackback (-) | page top↑

フェチ(26)

次の日は社長の顔をまともに見ることができなかった。
顔を合わすとどうしても昨夜の夢を思い出してしまう。
すると間違いなく顔が真っ赤になるような気がするのだ。
顔を見ないでいると、どういうわけか股間に視線に行くようになった。
すると変な妄想が始まる。
僕は瑞季のようにフェラできるだろうか?
社長のペニスを受け入れることができるだろうか?
そんなことを考えてしまうのだ。
おかげでその日は社長との会話がギクシャクしたものになってしまった。
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00:49 | フェチ | comments (1) | trackback (-) | page top↑

フェチ(25)

「もう大きくなってる。だいぶ溜まってるのね。ベッドで続きしましょ」
瑞季にベッドに寝かされた。
そして僕が見ている前で、瑞季がゆっくり全裸になった。
過去には一緒に着替えたこともあったが、ほとんど瑞季のことは見ていなかった。
自分が変身していくこと、それだけが僕の興味だったからだ。
だからこうして瑞希の全裸を見るのは初めてのようなものだった。
そして初めて見る瑞季の全裸姿は最高に綺麗だった。
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00:06 | フェチ | comments (4) | trackback (-) | page top↑

フェチ(24)

僕は仕事で着ていた服装のまま、すなわち、女性の服装のまま、瑞季の部屋に行った。
「本当に来てくれたんだ」
「絶対に来てねって書いてあったからな」
「それにしても、最近大学で見ないと思ってたら、あんなところにいたのね。しかもそんな恰好で。バイトなの?」
「いや、就職だよ。女性としてあの会社に就職したんだ」
「大丈夫なの?そんなことして。会社の人は知ってるの?」
「もちろんだよ。僕が女装した男だって会社の人間は知ってるよ」
瑞樹は興味深々で僕の身体に触れんばかりに近づいてきた。
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00:32 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(23)

秋が明けると秘書として仕事をこなすだけの毎日が待っていた。
僕は淡々と仕事をした。
社長は前の週に起こったことはまるで忘れてしまったように見えた。
僕もあえてそのことには触れようとしなかった。
それでも時々は昼食をともにすることがあった。
そんな機会に僕は北原社長自身のことをいろいろと聞いてみた。
もちろん社長個人のことが気になっていたからだ。
最初はそんな質問をしてくる僕に訝しげにしていた社長も答えてくれるようになった。
おかげで少しずつだが、北原社長のことが分かり始めていた。


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11:21 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(22)

残された僕たちには話題はなかった。
智美さんが最後にあんなことを言ったものだから余計に話すことがなかった。
「智美さんも帰ったし、もうお開きにしません?」
僕は早くひとりになりたかった。
だからそう言ったのだが、返ってきた返事は僕の期待しないものだった。
「もう少しだけ上のバーでつき合ってくれないか」
北原社長がそう言った。
さすがにそのまま帰るのは余計に気まずいと思い、僕は応じることにした。
「あ、そうですね。そうしましょうか」
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