FC2ブログ

フェチ(23)

秋が明けると秘書として仕事をこなすだけの毎日が待っていた。
僕は淡々と仕事をした。
社長は前の週に起こったことはまるで忘れてしまったように見えた。
僕もあえてそのことには触れようとしなかった。
それでも時々は昼食をともにすることがあった。
そんな機会に僕は北原社長自身のことをいろいろと聞いてみた。
もちろん社長個人のことが気になっていたからだ。
最初はそんな質問をしてくる僕に訝しげにしていた社長も答えてくれるようになった。
おかげで少しずつだが、北原社長のことが分かり始めていた。


続きを読む
11:21 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(22)

残された僕たちには話題はなかった。
智美さんが最後にあんなことを言ったものだから余計に話すことがなかった。
「智美さんも帰ったし、もうお開きにしません?」
僕は早くひとりになりたかった。
だからそう言ったのだが、返ってきた返事は僕の期待しないものだった。
「もう少しだけ上のバーでつき合ってくれないか」
北原社長がそう言った。
さすがにそのまま帰るのは余計に気まずいと思い、僕は応じることにした。
「あ、そうですね。そうしましょうか」
続きを読む
00:00 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(21)

「川瀬くん、今までありがとう」
智美さんの本当の最後の夜、僕は社長と智美さんとともに、高級なレストランにいた。
智美さんの最後の送別会だ。
「こちらこそ今までありがとうございました。直美ちゃん、社長のこと、よろしくね」
「あ、はい、任せてください。私こそ短い間でしたけど、いろいろありがとうございました」
「それじゃ始めようか」
僕たちはワインで乾杯した。
そして料理が運ばれてきた。
すごくおいしい料理だった。


続きを読む
23:14 | フェチ | comments (1) | trackback (-) | page top↑

フェチ(20)

僕の秘書業務が始まった。
僕の仕事の大部分は社長のスケジュール管理と接客ということだ。

社長より早く出社して、その日のスケジュールを印刷して、机の上に置いておく。
社長が出勤したら、すぐに口頭でその内容を伝えるのだ。
社長は自らメールを使いこなすが、なかなかメール処理の時間がとれないため、メールの代筆もあるらしい。
さすがに最後は確認してから自ら発信するが、文章そのものは秘書が書いたものということも多いとのことだ。

続きを読む
00:45 | フェチ | comments (2) | trackback (-) | page top↑

フェチ(19)

「塚本直美です。今日からお世話になることになりました。よろしくお願いします」

週が明けると、僕は北原の会社で皆の前で挨拶していた。
初日ということもあり、僕は白のスーツで決めていた。
皆の興味本位の視線が居心地を悪くする。
「塚本さんは今度退社する川瀬さんの後任として来てもらうことになった。みんな、よろしく頼む」
そう紹介された。
いよいよ僕の女性としての、直美としての社会人生活が開始されたのだ。


続きを読む
01:10 | フェチ | comments (2) | trackback (-) | page top↑

フェチ(18)

どうしよう?
もう少しこのまま就活を頑張ろうか。
しかし、これまでの実績から考えると就職内定をもらえるのは望み薄のような気がする。
いっそのこと女性として北原の会社に就職しようか。
そうすればとりあえずは仕事に就くことはできる。
しかし、それで就職できたとしても、絶対に問題が起きるだろう。
そうなると傷つくのは僕自身なのだ。

かなりの時間、いろいろ考えた。
いくら考えても、いくら悩んでいても堂々巡りだ。
結論は出そうもなかった。
続きを読む
08:50 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(17)

「それじゃ、僕からの質問、いいかな?」
僕が腹を立てていることには気がつかないのか、男は何事もなかったかのように言った。
「何ですか!」
僕は少し怒りながら聞いた。
「君の今の恰好は趣味なの?」
男の質問に僕はどう答えていいのか分からなかった。
すると男が言った。
「もしその姿で面接に来てくれたら、採用してたんだけどな」
「えっ?」
思わぬ言葉に警戒していたことが頭から消えてしまった。

続きを読む
22:46 | フェチ | comments (2) | trackback (-) | page top↑

最近ちょっと好調です

沙亜矢です。
最近何となく好調です。
強制女性化妄想といい、ブログの小説といい、週1以上更新できてます。
バリエーションがあるかどうかはともかく何か書きたい感じなんです。
ようやく長いスランプから抜け出れたのでしょうか。
以前のように隔日というのはつらいですが、週一とか5日で1回くらいなら継続的にできそうな気がします。
乞うご期待!

#でも無理するつもりはまったくありません、あしからず。

15:57 | 未分類 | comments (3) | trackback (-) | page top↑

フェチ(16)

男性は黙って車を走らせた。
何も喋らない。
僕も口をきかなかった。
でも頭の中は不安でいっぱいだった。
どうしてバレたんだろう?
どこに連れていかれるのだろう?
もっと必死で抵抗して車に乗らなければよかったのに…。
そんなことを考えていた。

10分ほど走っただろうか。
車は病院の駐車場に入って行った。
本当に医者に連れていかれるとは思ってなかった。
続きを読む
15:34 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑

フェチ(15)

それから何度もエントリーシートを出したり、面接を受けに行ったりした。
しかしさっぱりだった。
卒業まで半年を切った時期になっても全然就職先が決まらない。
卒業に必要な単位を取ってしまっていたので、卒業することはできる。
しかしこんなことだったら単位をとらずに落第したほうがよかったのかもしれない。
そんなつまらないことすら考えてしまう。
自分の考えがどんどんネガティブな方向に向いてしまうのだ。

続きを読む
13:32 | フェチ | comments (0) | trackback (-) | page top↑